パンクの始まり
夕方、降り始まったと思ったら、たちまち辺りを白くしたけどやんじゃったな、雪。これから降るのかな?
底冷えのする夜、聴いてるのはコレ。
PATTI SMITH、75年のデビュー・アルバム『Horses』
ここのところ、ピストルズ、モダン・ラヴァーズ、ハートブレイカーズ、Dr.フィールグッドのことなんか書いたら、“最初のパンクって何だろう?”と考えて。
ずばりピストルズって言う人、いや、ダムドだよと言う人、ヴェルヴェット、MC5、ストゥージズ、NYドールズ辺りを挙げる人、60年代のガレージ・バンドの名を出す人も居るかな?こういうのは主観の問題だし、大きく意見が分かれるだろう。
俺はパティのこのアルバム、もっと言うなら、1曲目のコレが始まりだと思う。
自作曲にゼムのヒット曲を繋げた代表作。
今聴くと、60年代的なヨレたガレージサウンドってカンジだけど、肥大しきった当時のロックに馴れた耳には相当新鮮に聴こえた筈(俺も少しだけ後追い。最初に聴いたパンクはピストルズだった)
そしてマシンガンのように散文的な詩を乱射するパティの声。
♪ジーザスが死んだのは誰かの罪
でもそれは私のじゃない♪
この歌い出し。
キリスト教うんぬんじゃない。
思ったことはタブーを怖れず唄うというスピリット。
俺はここで線を引く。パンクはここから始まったんだよ。
01年のフジロックでステージに現れるなり、この曲を唄い出したパティを観た時の興奮はちょっと言葉に出来ない。もの凄いオーラだった。ふと、観たことのないジム・モリソンのステージングとはこんなだったんじゃないか?と夢想するぐらいに。
再結成、カムバックやらの、“伝説”のバンドやアーティストの待望の来日を観る時は多かれ少なかれ、自分が(勝手に)持ってたイメージとズレがあるものだけど、この人には全くと言っていいほど、それを感じなかった。途中で、9年、8年というブランクがあったにも関わらず、彼女の表現は常に地続きだ。
何故か?
嘘や無理がないからだ。
シュールな散文詩だろうが、ヒューマニズム溢れるメッセージだろうが、パティの本当の言葉で唄ってるから違和感が無い。
家で家事や子供の世話をしている時と同じ感覚で自然に表現しているような趣。
アルバムの音はジョン・ケールのプロデュースの所為かバンドがまだ固まってなかった所為か、痩せた印象だけど、それも次作『ラジオ・エチオピア』(俺のNo.1フェイバリット。墓まで持って行きたいアルバムのひとつ)から飛躍していく。その話はまたいづれ。
もう1曲だけ。
当初はシングルのB面にのみ収録された、言わずと知れたザ・フーの超有名曲のライヴ音源。ベースはジョン・ケール。スゴイ!
今では画像下のレガシー・エディションに収録された、05年、メルトダウン・フェスティバルでのレッチリのフリーがベースを弾くバージョンも聴ける。コレがまたスゴイ!
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コメント
グレイトなアルバムですね!!
でも一番聴いたのは3rdのような思い出があります...。
私的には最初期パンクはAC/DCかもしれません。
オーストラリアシーンに興味を持ってその後はセインツ、レディオバードマン辺りをを購入しましたo(^-^)o
パンクって人それぞれ捉え方や感じ方が違いますね。
はやりや、話を合わせたくて聴いている人だって居るぐらいです...
投稿: TAIKE | 2012年1月26日 (木) 13時48分
LA MOSCAさん、こんばんは。
パンクのはじまりかぁ、考えたことなかったな。
タブーをおそれずに、という意味では、ヴェルベッツやドアーズ?いや、それならばディラン?ビートルズ?いやいや、プレスリーかも。いや、ロバート・ジョンソンかな。
そうやってさかのぼっていけばつまりは、ロック=パンク、パンク=ロックってことになっていっちゃうのかもしれませんね。
はじまりはともかくとしても、今もパンクの魂は死んでいない、ということが大切なのかも。
投稿: goldenblue | 2012年1月26日 (木) 20時54分
>TAIKE様
3rdね。
「ビコーズ・ザ・ナイト」、「ロックン・ロール・二ガー」とかあるしね。
AC/DCかぁ。ホント、人の数だけあるのかもね、パンクへの思いは。
>goldenblue様
ヴェルベッツやドアーズ、ディランにストーンズ。パティにはそれらの影響も感じます。
けど、何かがここで動いた、変わったと思うんです。
上手く言葉に出来ませんが。
パンクの魂。確かに。
スピリット・ミュージックだからね。
投稿: LA MOSCA | 2012年1月26日 (木) 22時38分
はじめまして、こんばんは。やっぱり自分にとってはパンクはセックスピストルズからですね。後追いで色々聞けばルーツは辿れば辿るほど切りがありませんが。(stoogesとか) リアルタイムなショックという点(中2だったかな)ではこれ以外にないです。でも当時は情報収集が大変だったなあ。今とは別世界ですね。
投稿: スター階段z | 2012年1月27日 (金) 00時16分
>スター階段z様
はじめまして!
コメントありがとうございます。
レス遅くてすいません。
そうですよね、ピストルズの登場はデカかったですね、あまりにも。
中2でしたか。俺は小6でした。
情報収集ねぇ。前にアナーキーの映画観た時、茂が
「最初はミュージックライフにも載ってなくて音楽専科の小さい写真見て真似してた」
って言ってたの思い出しました。
ところでHNが素敵過ぎですね(笑)
投稿: LA MOSCA | 2012年1月29日 (日) 20時44分
はじめてコメします。The DomnedのWhite Rabbitからこちらにたどりつきました。
一生ご縁がないだろうと思っていたパンクをひょんなことで聴くようになって数週間。パンクってどんなもの?ってずっとわからなくて、でも、「思ったことはタブーを恐れず歌う。」って、ああ、これかあって妙に納得しました。若い時は全く受け付けなかったのに、今、ある程度の年齢になって聴けるようになったのはこういうことか・・・って思ってます。
超初心者的には、今はダムドが好きです。聴かない日はないくらい(笑)
パティ・スミスはじめて聴きました。最後は般若心経をシャウトしてましたか?(笑)
いい、ブログ見つけちゃいました。ときどき覗かせていただきますね。
「銀魂」も好きですよ、もっぱらテレ東専門ですが。
投稿: パト | 2012年1月31日 (火) 14時28分
>パト様
初コメ、ありがとうございます。
まぁ、パンクもいろいろあると思うんですが「パンクってどんなの?」
って全く知らない人に聞かれたら俺はダムドの1stを聴かせますね。
時代背景や精神面の理屈抜きで音だけで納得させるならコレかな、と。
般若心経(笑)そんなカンジですよね~。
いいブログ?
もっと言ってください(笑)
また来てくださいね!
銀魂はコミックも面白いですよ~
投稿: LA MOSCA | 2012年1月31日 (火) 21時45分