札幌に椰子の木、沖縄に白い雪、そして砂漠にも雪
仕事始め。
つってもまだ遊びみたいなもんだけど。
クリスマスに、とある若人から思いがけずに戴いたこの本を今日読了。
伊坂幸太郎、2005年の長編、『砂漠』
通勤時間のウォークマン自粛の代替えと、年末年始の勤務中の時間の余裕もあって、凄い速さで読み切った。
いや、内容の素晴らしさもあるよ、勿論。伊坂作品は好んで幾つか読んだけど、その中でもかなり良い。(どれも良いけど)
大学入学時から仲良くなった北村、西嶋、南、東堂、鳥井という5人の男女。
合コン、麻雀、ボウリング、超能力、キックボクシング、捨て犬救出、「大統領か?」と尋ねて人を襲う通り魔、元ホストを含む空き巣集団etc
社会という‟砂漠”に出る前の、5人の4年間の春夏秋冬の物語。
他の伊坂作品同様、主要人物のキャラ設定がとても魅力的で。わけても西嶋。目立つからみんな思うだろうけど。
押しもアクも強く空気も読めない、可愛くない小太り眼鏡のキモオタ。普通は嫌悪、もしくは同情される筈のキャラなのに、その発言や行動の妙な説得力で他の4人をはじめ、いろんな人を強引に巻き込んでいく。
個人的にツボだったのはヤツがパンク好きだったこと。
以下、西嶋発言の引用。
「ジョーイ・ラモーンの名言を知ってますか?彼は記者に『どうして、そんなに長くバンドが続いてるんですか?』と聞かれて『長くバンドを続けるにはステージ上であまり動かないことだ』と答えたんですよ」
それを聞いた鳥井と北村同様、俺も吹き出したよ、此処読んで。
実際にジョーイが言ったかどうかはどうでもいい。とてもジョーイらしくてカッコよくてパンクだな!と思えたから。
西嶋に惹かれるあまり、好みでもないのにラモーンズのCDを買った学校中の男子が狙うクールな美女の東堂が、北村に感想を求められて、最初は理解出来なかったものの「あれも慣れるね。『電撃バップ』とかね、可愛くて好きだよ」と答える場面もいいなぁ。他にも「イボイノシシ(WART HOG)」なんて曲名が会話に出てきてクスッときちゃった。選曲がナイス(笑)
「その気になれば砂漠に雪を降らすことだって出来るんですよ」
何度も出てくる西嶋の、この無茶な言葉で思い出したのはこの曲。
伊坂幸太郎とお互いにインスパイアされあってて、何度もコラボしてる斎藤和義の2011年秋の『45Stones』のアタマの曲。震災直後に出来た曲らしい。
前に別な伊坂作品のことを書いた時、映画化されたらテーマ曲はコレがいいって書いたんだけど、『砂漠』の方があってるね、間違いなく(苦笑)
臆することなく自分を貫く西嶋はかなりカッコイイ。
俺も生まれ変わったら西嶋になりたい。
なんてことはまるでない(笑)
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