世界中がイエスと言ってもノーと言えるか?
また一日とかで戻っちゃうかな?
そもそも、この数字で喜んでるのが哀しい・・・。
俺以上の雨男が居ることを痛感した本日。
行いが悪いんだろうな、俺以上に(笑)
伊坂幸太郎の『魔王』を読了。
読んだ伊坂作品の殆どに「そうそう!俺もそう思う」と頷ける記述(主に登場人物の台詞)はあったけど、今作のその量と濃さは群を抜いてる。
この国の国民はTVとパソコンの前に座り、そこに流れてくる情報や娯楽を次々と眺めるだけ。死ぬまでそうやってただ、漠然と生きる。無自覚に、無為に時間を費やし、そのくせ、人生は短い、と嘆く。豊富な情報と、単調な生活から生まれてくるのは、短絡的な発想や憎悪だけだ。
普段は平気でゴミをポイ捨てしたり、他人の迷惑も顧みないで、「別に法律に違反してないじゃん」って列に割り込んだりしてる人たちが、こういう時だけ、国際社会の一員としての義務とか知った顔で言い出すのが私は気味悪いんだよね。
この国の人間は、怒り続けたり、反対し続けるのが苦手なんだ。初回は大騒ぎでも二度目以降は興味なし。途端にトーンが下がる。「もう、いいじゃないか、そのお祭りは既にやったじゃないか」って。
きっと今、此処で憲法改正のことを気にしてる人なんて居ないんだろうな。自分の生活から遠い問題については、誰も考えない。考える余裕もない。考えたつもりになってるだけだ。
‟お祭り”っていうのは俺も此処で使ったことのある言い方だ。
個人思索の希薄さ、ムードやイメージから、‟スイカの種並び”と表現されてる全体主義の洪水に流されてしまうことへの恐怖。
現代社会への不信と不安(批判とはちょっとニュアンスが違う気がする)。
他の作品同様、ストーリーやテーマ、設定よりも強烈に残るのはそういうところ。
「魔王」とは誰か?
作品中で匂わされる犬養?潤也?それとも安藤?
というより、洪水に流されていく世界そのものなんじゃないだろうか?
俺はそう解釈した。
更にぞっとするのはコレの初出が10年以上前の04年なこと。
驚くほど、今現在の世の中の方がしっくりくる、書かれた時よりも。
時代は作者の危惧してた方向にどんどん進んでるということなのかもしれない・・・。
ここからどの音楽にこじつけようか考えて浮かんだのはこの人のこの曲。
Iggy & The Stooges - I Got A Right
♪ヤツらが何と言おうと
俺にはいつだって好きな時に
楽しく騒ぐ権利があるんだ
好きなように、好きな方法で
好きにしていいのさ♪
73年にレコーディングされたものの当時はオクラになってたIGGY & THE STOOGESの曲。
ハードコア・パンク・ムーヴメントの10年も前に既にこんなのをやってたイギー。
俺がはじめてイギーを観た日の1曲目はコレだった。
「たとえ世界中がイエスと言ってもノーと言えるヤツがホンモノのロッカーだ」(イギー・ポップ)
俺は・・・
言えないかなぁ(苦笑)
でも洪水は塞き止められなくても、水に流されずに立ち尽くす一本の木ぐらいにはなりたい。
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