カテゴリー「映画」の178件の記事

2017年11月 6日 (月)

SET THEM UP JOE

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任務完了。

CONQUESTさんから興味深い話も聞けた(笑)

今日明日は連休。明日のインフル注射は嫌だし、休み明けにいろいろあったりもするけど、今は幸せな気分。

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任務遂行その1の先週の火曜に水戸で観てきたこの映画のことを書いておこう。

『ブレードランナー 2049』予告

本国で大コケしてるらしかったり、内容にケチつけてるヤツが結構居たりとかもするけど、俺は大いに楽しんだよ。3時間が全然長く感じなかったし、何もかも忘れて2049年のロスに行けた。

思えば前作だって、今でこそ歴史的な名作と言われてるけど、公開時の成績は振るわなかった。徐々に伝説になってったんだもんね。熱狂的マニアが熱く語るから誤解しがちだけど、それほどの超メジャー作ってワケでもないのかもしれない。

今度の続編も伝説化するとは言いきれないけど、少なくともすぐ忘れ去られたりせず、残された謎があらゆるところで語られていくと思う。

そう、‟知る覚悟はあるか?”ってキャッチコピーの割には明快な答えは出ないし、寧ろ、かなりモヤモヤしたまま終わるけど、そこがいいのかも。

前作を踏襲と言うか、踏まえた部分、アレはこうなった、それはこういうことだったって部分がとても細かいところまで盛られてるにのもマニア心をくすぐられるし。まあ、俺はそれほどマニアってワケじゃないけど。観てて気づかずに後でネットで見て「ああ、そういうことだったの?」ってことも多々あったし(笑)

ただただ、『ブレラン』が好きで、それは今作も同じ。

そんな俺が鑑賞中、たぶん、場内でただ一人、俺だけの視点で盛り上がったのはフランク・シナトラの「ONE FOR MY BABY」がジュークボックス(ホログラムで唄うシナトラ付き)から流れる場面。

多くのカバーが残された有名曲だけど俺にとってはイギー・ポップ、ルー・リードがカバーした曲としてインプットされてる曲。

ライアン・ゴズリング演じる主人公Kに恋人が付けたニックネームがジョーなのにひっかけてるってことに気づいた時には独りでほくそ笑んだよ(笑)

イギーは70年代後半からライヴで唄ってて、『パーティー』の時にレコーディングしてボツにして未だに正式なバージョンは無いけど、俺もスタジオ・デモライヴの2つの音源持ってた。で、つい、この間、もう1つ手に入れた。

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83年7月のオーストラリア公演(つまり、初来日直後)を収録したあっち方面のを心ある人にアレしてもらった(笑)

リリース当時、友だちにアレしてもらって(笑)カセットで長く愛聴してた思い入れ深いライヴ盤。30年以上を経て、ようやく盤で聴けるようになってスゲー嬉しい!

貼ったのはブライアン・ジェイムスやグレン・マトロックが居る79年のライヴ。カッコイイ。俺はルーのよりイギーの方が全然好き。

Iggy Pop - One for My Baby

『2049』、ソフト化される前にもう1回観たいなぁ。

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2017年10月12日 (木)

古いヤツだとお思いでしょうが・・・

「俺だって考えてんだよ、バカヤロウ!」

2回ほど、そう怒鳴りたいのを堪えた7連チャン初日。

昨日はようやく髪を切って(担当はご無沙汰の日立のパンクスター!)、俺としたことが4ヶ月も気づかずにいた大好きなマシュー・スウィートの新作と、限定なのを忘れてたチャボのアナログ・シングルを注文して、あとはひたすら呆けてた。たけしの『ソナチネ』を実に久しぶりに観たりもして。

先週の土曜、公開初日の朝一発目を観たコレの余韻だな。

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アウトレイジ 最終章 予告

最初のヤツ、『ビヨンド』に続き三度、映画館で。大好きなんだ、このシリーズ。

結論から言うと素晴らしい映画だった。

それまでの北野作品の雰囲気は存分に残しつつ、思いきりエンターティメントなのは過去2作同様。いや、2作以上かな?今回は。

たけし演じる大友が一応、主役なんだけど、大きな組織抗争というストーリーの中では1つの駒に過ぎず、役者陣の充実ぶりの所為もあって、大友不在のシーン(沢山ある)も全然飽きずに観れるのも過去作と一緒。

『ビヨンド』に引き続き登場の西田敏行、塩見三省は体調万全じゃない部分を感じさせつつも、その静けささえ迫力に変える怪演。特に西田のアドリブを含むと思われる台詞回しは圧巻の一言。ストーリー的にはある意味、主役だし。

北野作品ではお馴染みの大杉漣、岸部一徳の、らしい演技もいい味出してたし、初登場で重要な役どころを演じたピエール瀧が演じる役のアホっぷりもよかった。

でも、個人的には大森南朋に惹かれたなぁ。カッコよくて可愛くて美味しい役を見事に演じ切ってた。

正直、‟ブツッ!”ってカンジのエンディングが強烈だった『ビヨンド』の方が観終わった後に残ったんだけど、トータルで考えると一番の完成度じゃないかな?今作が。

あと、印象的だったのは大友の昔気質と言うか、時代遅れっぷりが過去作以上に強くアピールされてたこと。西田演じる西野の言葉を借りると「古くせえ極道」って部分がやたら印象的。

頭では‟こうじゃねえんだろうな、これじゃダメなんだろうな”ってわかってるだろうに自分の信念を曲げれずに葛藤しながらも突っ走ってしまうところがいい。それが作品全体、特に後半に進むにしたがって感じる哀感の理由だと思った。エンディングなんか泣きそうになったもん、俺。

突っ走るったって、絶えず葛藤してて、それでイライラしてうんざりして疲れてるような雰囲気も感じる。

未だにスマホも持たない自称‟昔気質のパンクス(数年前、ネット繋がりの、とある女性にそう呼ばれて悦に入ってた・笑)で、常に葛藤しててイライラしててうんざりして疲れてる俺なんか他人事に思えなくてさ(苦笑)

そう思われたくて、必要以上に、実際以上に‟時代遅れ”感をアピールしてたのも昔の話で、今や意識的にそんなことしなくても、何処からどう見てもただの時代遅れになっちゃったからね(苦笑)かと言って、逆に其処を取り繕って新しいもんをわかってるふりする気も全然ない、もはや。

いいよ、もう。時代遅れで要領悪くて上等だよ。

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音楽、何にこじつけようか?って考えても、‟昔気質”ってことで真っ先にアタマに浮かんで、もう、この人しかないなって、他に思いつかなかった(笑)貼った写真も何処ぞのマフィアのボスみたいだし(笑)

Keith Richards - Suspicious

既に2年前となるキース、23年ぶりのソロ、『クロスアイド・ハート』の中で一番好きなのがこの曲。

お馴染みのギターリフも無いし、ノリの良さも感じないけど、コレが2015年のキース。葛藤して疲れてる。

時代遅れかもしれないけどコレはホンモノだよ。

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2017年9月16日 (土)

MUSIC IS LIFE, AND LIFE IS NOT BUSINESS

♪気が狂ってんじゃねーの?

 頭おかしいんじゃねーの?

 まさか、やめてよ♪

まったくだよ。

耕太郎の言うとおり。

またまたのアクシデント発生に凹み気味のここ数日、その後の調整的な意味の今日の休日もパッとしない気分・・・。ブログ書いて気を紛らわそう。

もう二週間近く経ってしまうけど、新宿で観た素晴らしかった映画の話。

 

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スゲー欲しかったTシャツとバッヂが品切れ中だったり、俺の行った後に楽しげな企画(ほぼ等身大パネル!素肌にジャケット!)が始まったりで、少しばかりモヤモヤしちゃったけど映画そのものはすこぶる良かった。大きな期待を持ってたけど、それを上回る素晴らしい内容だった。

THE STOOGESのドキュメンタリー、『GIMME DANGER

Gimme Danger - Official trailer

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彼らは他のバンドとまるで違っている

序盤に出てくる、‟ピーナッツバター”や‟イギーでワッショイ”で有名な、1970年の‟あの”シンシナティポップフェスティヴァル”のTV中継のMCだかレポーターの、この一言、つまり、ストゥージズが如何に特異な存在だったか、そして、その所為でどれだけ過小評価されてきたかが、これでもかと強調される前半。

それがあるから、パンクの時代を経ての再評価、30年ぶりの復活と続く後半への感動もひとしお。特にラスト近く、2010年のロックの殿堂入りの時のイギーのスピーチでのキメの言葉が出た場面では身震いして鼻先がつーんと来たよ。

俺は誰の真似でもなく、既成の下劣なモノをなぞらない良いアルバムを作り出そうと努力してきた。コレはあくまで個人的な表現だ

レコードを出し始めた頃、自分ではすごい作品だと思ってたけど同意してくれる人は殆ど居なかった。当時は正しい評価を受けられなかった。でも、今では大勢の人があの頃の作品を評価してくれる。だから自信もついたし、何よりも自分を信じてきてよかったと思う。俺はさ、絶対に諦めない人間なんだよ。自分の信念を貫き通すことは大切なんだ。だから、今もあの当時のアルバムを宣伝して、著作権料を稼ぐんだ。これは俺のプライドの問題でもある。今ではあの頃の曲は発表当時より有名になった。俺が唄い続けてきたからさ。やっと正当な評価を受けるようになったんだ

この93年と94年、共に『アメリカン・シーザー』の時期の2つの大好きな発言を思い出した。イギー・ポップは全然ブレない、もう50年も。

 

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イギー自らの依頼で監督を務めたというジム・ジャームッシュ。俺は『ストレンジャー・ザン・パラダイス』、『ダウン・バイ・ロー』、『ミステリー・トレイン』しか観たことが無くて、ファンってワケでもないんだけど、コレはドンピシャと思った。特にストゥージズがパンクに与えた影響を伝えるくだりは自身も熱狂的なファンなこの人ならでは。伊達にイギーと20年来の友人関係保ってないな、とも思ったね。インタビュー・シーンの‟近い”カンジとか。

そうそう、インタビュー。この手の映画にしてはコメンテーターが極端に少ない。大抵出てくる、同期や影響を受けたりのミュージシャンは皆無。ロンスコットのアシュトン兄弟、ジェイムス・ウィリアムスン、それにスティーヴ・マッケイ、マイク・ワットのバンド・メンバーの他はストゥージズを見出したダニー・フィールズ(ジャーナリスト上がりでエレクトラ、アトランティックのA&Rを経て、後にラモーンズのマネージャー)、そしてアシュトン兄弟の妹、キャシーのみ。この辺は敢えてだろう。パーソナルに、コアに仕上げたかったんじゃないかな?

しかし、この映画、観終わった時のカタルシスが半端じゃない。40年越しで得た栄光だもんな。本人たちは勿論、ずっと好きで居続けたファンもそう感じるのをジャームッシュは痛いほどわかってる、自分も大ファンだから。

もう、ストゥージズはWORLD’S FORGOTTEN BOYじゃない。今やロックのメインストリームの1つだよ、それも巨大な。

 

Iggy & The Stooges - Search And Destroy

Iggy & The Stooges - Search And Destroy

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2017年9月 5日 (火)

I FEEL ALRIGHT

「どうした?もう終わりかよ?」

心の中で何度もそう強がりを言いながら過ごした本日。

予想どおりのフルボッコ。そっちからもこっちからもパンチが飛んできた。

でもへーき。明日はコレを観るから。

めんどくせーこと、全部先延ばしにして逃げるように帰ってきた。

Gimme Danger Official Trailer

写真Tは品切れ中だし、やっぱり雨のようだけど(ミチロウダムド。こういう映画を観る時は雨・・・)、全然いいよ、そんなの。だって、ストゥージズだもん。

The Stooges - 1970

何度も何度も書いたけど、この曲が気も狂わんばかりに好き。こんなカッコよくて興奮する曲、他にあるか?いや、あるけどさ(笑)でも、スゲーよ、どうにも。

後半の延々と続くリフレイン。

もう10分でも1時間でも1年でも100年でも続けって思う、いつも。

次はコレを聴こう。

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IGGY & THE STOOGESの『METALLIC K.O.』

A面に73年10月6日、B面に74年2月9日のデトロイトはミシガン・パレスでの、スコット・サーストン加入後の‟末期”ストゥージズ(後者はラストGIG)のライヴ・アルバム。

今では、コレの拡張版もあるし、この手の音源はたくさん聴けるけど、このアルバムが出た76年にはコレでしか聴けなかった。音は勿論よくないけど、それを差し引いても余りあるカッコよさ。特に「COCK IN MY POCKET]~[LOUIE LOUIE」の後半2曲。「LOUIE LOUIE」のジェームス・ウィリアムスンのギターのエロティックな音色!

それにしても楽しみだなぁ、映画。

個人的初イギーから30年。

2017年もあっという間に過ぎていく

長く生きててよかったよ。

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2017年8月22日 (火)

遠藤ミチロウの‟独り”パンク放浪記

明日って今日より暑いの?休み、明日がよかったなぁ。

明日からの7連チャンに備えて体力温存!ってことでウチでじっとしてた。まあ、いつものことだけど(笑)

気持ちは上向いたって言うか、無理矢理気味にポジティヴな方へ持って行った、ヤケッパち的なカンジで。明日以降も絶対、やられるだろうけど今から考えてクヨクヨしても仕方ない。そんな時間の無駄使いはしてられないから。

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この間の休み、17日に届いたコレ。もう何度となく観てるけど、また今日も観た。ちょっとのつもりがまた全編を。

ミチロウの2011年1月23日~9月16日までを追ったロードムーヴィー、『お母さん、いい加減あなたの顔は忘れてしまいました』のDVD。

 

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劇場公開された本編のディスク1に90分の未公開ライヴシーン(大阪のTHE STALIN Z、フェスティバルFUKUSHIMA!のNOTALIN’S、THE STALIN 246etc)を収録したボーナスディスクの付いた2枚組。

ライヴがたっぷり入ったボーナスディスクも勿論いいけど、個人的には本編の映画の方に心を奪われる。公開当時、新宿いわきと2回観てるけど、それでも。

還暦ツアーに先駆けたスターリンZがタムの訃報で意味が変わってしまったのをはじめ、ツアー開始直後の311で、その後のミチロウの活動が大きく変化して映画の内容も当初の予定を大幅に軌道修正したであろう本作、その偶然が偶然とは思えない奇妙なリンクが次々と続いていく。まるでシナリオがあったかのように。

それを強く感じさせるのは、劇場で観た時にも思って此処にも書いたけど、構成と編集の妙だと思う。監督も務めたミチロウ本人の手腕かも。初監督作なのに。あっ、AVの監督経験はあったらしいけど(笑)

特に、2011年8月15日、フェスティバルFUKUSHIMA!メインイベント当日にして母親の誕生日に実家を訪れるところ~その前日の福島駅前での雷鳴が轟く中の「天国の扉」(ミチロウ+坂本弘道)~大阪のスターリンZと続くオープニング、それと実家での母親との会話に三角みづ紀との家族観を語る対談がインサートされる中盤は見事な構成で強く印象に残る。

「高校を卒業して大学に入る時に家を出てから実家に帰りたいと思ったことは1回もない」

序盤のインタビューでの、この発言と

「みんなに地元(母)があるように、そこと向き合うことがどれだけ厄介なことか、みんな知ってるんだ。それに甘えるように旅をして歌う。それが僕だ」

というパンフとDVDのブックレットの序文での言葉。

DVDで改めて観て、より強く感じたのはこういうフィーリング。

撮影から6年、あと3ヶ月で67歳になるミチロウの旅は(途中、病に倒れたものの)まだ続いてる。しかも、俺がまったく予期せぬ、未だに動揺が治まらない変化も遂げながら。

何処まで行くの?俺は何処までついて行ける?

限りある限り。

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2017年5月16日 (火)

君と踊りあかそう日の出を見るまで

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またしても誘惑に勝てず。

ホントに痩せたいのか?どこかで‟もういいや”と思ってないか?揺れる中高年の拘り(苦笑)

今日は年に一度の健康診断。毎回、帰り道にあるこの店で買い食いしちゃう。スゲー美味いんだ、豆がごつごつとデカくて。

半月ほど前、人の勧めで観たこの映画のことを書こうと思って書いてなかった。

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Scent Of A Woman

アル・パチーノ主演の92年作、『セント・オブ・ウーマン/夢の香り』

洋画ってもんを殆ど観なくなって久しい俺だけど、コレはすごい良かった。久々に心に残る作品を観れたよ。

ストーリーや展開は割とありきたりな気もするけど、登場人物の心情描写が丁寧でアル・パチーノはじめ役者陣も繊細に演じてて、白けないどころか、とてもリアリティを感じれた。

アル演じる主人公、盲目の退役軍人・フランクとひょんなことから行動を共にする学生、チャーリー(クリス・オドネル)他、みんないい演技してるけど、やっぱりアルが凄い。

‟盲目役を演じた表情”が評価されてて、勿論、それもそうなんだけど、プライドと自嘲・卑下の間を揺れ動く心が見事に演じられてると思う。人間、そう簡単に白黒つけられないでしょ?物語のように。

そして、劇的にじゃなく、少しだけ、ほんの少しだけポジティヴに変化した日常に戻っていって深い余韻を残すエンディング。

この辺がリアルだなぁ。

「お前に痛みの何がわかるんだ?」

「足が絡まっても踊り続けて」

「間違えるのが怖い?人生と違ってタンゴには間違いなんてないよ」

The Tango - Scent of a Woman

ストーリー的にはそうでもないけど、この映画にとって重要で名シーンと思われるタンゴを踊る場面。

ウキウキと楽しくて、ちょっとせつない。

Leonard Cohen Dance Me To The End Of Love

Youtubeで見つけた、このシーンにレナード・コーエンの曲をあてがった動画。

驚くほどぴったりだなぁ。

この時、既に大御所で52歳だったアルは、この映画で初のアカデミー主演男優賞を受賞したんだってね。

いいね。歳をとるのも悪いことばかりじゃない。

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2017年4月26日 (水)

クズがここにいるぜ

やっちまったな、今日は。

如何に仕事に身が入ってないかを思いきり露呈してきたよ。

本当はそうじゃないのを判りつつ、自分を誤魔化して強引に何でも自己肯定する図太い俺も、コレはダメだと思った。これじゃ、ただのクズだ。

クズと言えば、この間の休日にこの映画を観た。

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映画『葛城事件』予告編

何故かこの手のドロッとした後味の悪そうなえげつない映画ばかり観てる最近(元々、好みではあるんだけど)ではあるけど、そのどれもに良い感想を持ててるワケでもなくて。

予告で煽ってた程でも無かったり、ただただえげつないだけ、後味悪いだけってのも多々ある。

でも、コレは近年観た中でもかなり良かった。『紙の月』や『渇き』と共に。

主要登場人物が皆、どこか歪んでるんだけど丁寧な、それでいて説明過多に陥らない描写で描かれててとても説得力がある。

たとえば、主人公・葛城清(三浦友和)が毎日座り続ける金物屋の椅子に長男・保(新井浩文)が座り、その視点から清の世界の狭さを教えてくれるシーンとか上手いなと思った。

幾つかの事件、実話を元に本が書かれたのかもしれないけど、ある意味、設定は類型的だし、ストーリーも予想出来るカンジで進んでいくんだけど、この丁寧さで妙にリアリティあって怖い。

そして、‟こんなヤツ居ねえよ”から程遠い、‟ああ、居る居る、こういうヤツ”ってカンジが尚、怖い。

更に‟自分も予備軍かもしれない”と思わされるところがより一層、怖い。怖すぎる。

映画の肝はエンディングだな。あっぱれなクズっぷり。変な話、爽快感すら感じた。自分は‟まだ”ここまでクズじゃないと思えたからか、俺だけじゃないと思えたからか・・・。いずれにしても人間っていいこと言っててもこんなもんだよなって思ったのは確か。

こじつけるのは見事に主人公を演じた三浦友和の高校の同級生のこの曲。

忌野清志郎 - 人間のクズ

♪川のほとりで自殺を考えた

 だけど怖いからやめた♪

この歌い出しの鮮烈さが、さすが清志郎。

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99年、その当時の何処か軽く、誤解を恐れずに言えばコミカルでさえあった作風から一変したシリアスなタイトルとジャケの『冬の十字架』の1曲。印象的なジャケの撮影場所は清志郎の父親(養父)が晩年、独りで暮らしてた清志郎の実家。背景には清志郎が五年生の時に描いた絵や『愛しあってるかい』やロッキンオンや写楽らしきモノも。

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それにしても、この清志郎の黄昏具合は凄い。見事に中身を反映してるよな。「君が代」が収録されてて発売でまたまた揉めてそれが話題だったけど俺の関心はそこじゃなくてこの辺だったね。‟崖っぷち”だったのかもな、ホントに。

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2017年1月10日 (火)

あたたかいぼくの部屋

2~3日前、唇の上に吹き出物が出来て、以前、皮膚科で処方されたステロイドを塗ったら唇が水膨れみたいになっちゃって。

悪化はしてないと思うけどかさぶたになってて痛痒くて仕方ない。触っちゃいけないと思うと余計に障りたい・・・。

元々、皮膚は弱くて食生活や不摂生が原因だと思ってたけど、もしかするとストレスかな?今回は特に。

先週の木曜から始まって、今度の月曜まで続く毎年恒例の緊迫のイレギュラー体制。しかも今年は例年と違った編成。その上、罰ゲームか?ってぐらい別なデカいの盛られてるし、先行き状況の予定は二転三転してるし・・・。

6連チャン(うち3時間残業3回)を終えて、折り返し地点の今日は休み。明日からの10連チャン(うち3時間残業2回、初チャレンジ!)に備えて、いつも以上に何もしないで過ごす。

伸び放題だった髪を切りに出た以外、ほとんどウチ、それも自分の部屋に居た。

部屋でずっとコレ観てた。

深夜食堂

漫画は数年前にたまたま読んで(高円寺小杉湯で、だった記憶が・・・)知ってたけど、昨年秋の続編公開の時に映画化されてたのを知って、それ以前の09年から3部に亘ってTVドラマ化されてたのを知って。

とりあえず、昨年後半に2年前の最初の映画をDVDで観てすごい良くて、今日はドラマの方を最初からずっと観てた、1部の全10回分。

まず設定が大好きなカンジだし、小林薫も好きだし、他の役者もみんな良いし、食いもんはいちいち美味そうだし。

スゲー、ハマってしまった、遅ればせながら。今日は1日中、心は新宿・花園界隈に居た(笑)

小林演じるマスターをはじめ、どこかズレてたり、はみ出てたり、ワケありだったりの登場人物がいびつながらもあったかくていいなぁ。それぞれに憂いがあるのもいいねぇ。

時間かけて全部観たいな。

音楽も勿論、いろいろかけてたけどコレを載せておこう。

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真心ブラザーズのYO‐KING、初の、そして唯一の倉持陽一名義のソロ・アルバム、『倉持の魂』

真心でデビューした2年後の91年のリリース。

まず、コレはタイトルがいいね。‟その手があったか!”ってカンジで。

YO‐KINGや斎藤和義、ワタナベイビーなんかの、俺のちょい下ぐらいの年齢の、こういうフィーリングの人って好き。ビートルズやRC好きなのがモロわかりなカンジで。ちょっとフォーク・テイストがあったりなのも含めて。

ずばりな曲名もあるけど、いきあたりばったりに楽なカンジでいろんな曲やってるけどスジが通ってるっていうか同じ雰囲気で聴きとおせるアルバム。

なんか、あったかいんだよなぁ。

いい曲多いけど1曲だけって言うとアタマのコレ。

あたたかいぼくの部屋

動画サイトに無かったのでせめて歌詞だけでも・・・

此処で唄われてる世界観で既に持ってかれる上に、固有名詞のチョイスも絶妙だし、後半に「涙の乗車券」のフレーズが出て来たりで、もう降参状態。大好き、この曲。

今日の気分にぴったり。

俺の部屋にはこたつは無いしみかんも食わなかったけどね(笑)

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2017年1月 8日 (日)

PEOPLE ARE STRANGE

「●●さんもさぁ、もっと本社会議とか顔出してアピールしなきゃダメだよ」

「ああ、ですよね・・・」

今日の昼下がり、怒涛の日々を手伝いにきてくれてた先輩との会話。

わかるっていうか正論だろうな、真面目に考えたら。

でも、ホントにそうなのか?大体、真面目って何だ?

違和感を感じる。

明日のこの期に及んでのややこしいイベント(3時間残業のオマケ付き)こなせば1日休める・・・。

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1週間前、こないだの休みに観たこの映画が強力に残ってる。

『ヒメアノ~ル』予告編

『稲中』~『グリーンヒル』以降のギャグからシリアスものへシフトしてからのはちゃんと読んでない古谷実の漫画が原作。

ショッキングでえげつない映画は昔から好きだけど最近のこの手のモノを観たい欲求の強さはどういう意味があるんだろう?現実逃避なのかなぁ?

近年、ブログに書いたりしてるおかげで、こういう映画の中でも自分の細かい好みに気づいた。

それは静けさ。

静かに淡々と行われる暴力、凶行ほど恐ろしいモノは無い気がする。

貼った予告編ではガチャガチャしたカンジがあるけど本編観ると身震いするほど静かで恐ろしさ倍増。音楽も最小限に抑えられてる印象。

ちょっとほのぼのさもある前編から‟此処からが本番ですよ”的に突如現れるタイトル以降の緊張感も殺人シーンとセックスシーンが交互に出てくるところもお見事。すごい印象に残る。

一見、地味で普通に見える殺人鬼を演じたV6の森田剛が凄すぎる。奇妙な違和感を感じる。

大好きな濱田岳、それに佐津川愛実、ムロツヨシもいいんだけど森田クンが凄くて霞んでる。

悩んだ挙句、こじつける音楽はコレ。

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冴えないニイちゃん2人とブスいねえちゃん1人によるGALAXIE 500の『ON FIRE』

89年リリースの2ndアルバム。

抑揚がなく、静かで淡々とした曲。情けなくて不安定な裏声。そしてフィードバック・ギター。

あまりに抑揚が無さすぎてほとんどの曲の区別がつかない(笑)

でもね、なんか好き。ねえちゃんとドラマーがデキちゃってヴォーカルがイジケて分裂しちゃったのも含めて。

ドリーム・ポップやシュゲイザーの走りと言われてるみたいだけど、俺にはこのバンドはテレヴィジョンやアレックス・チルトンを思い起こさせる。

Galaxie 500 - Strange

独りでドラッグストア行って、奥にあるコークを掴んでトゥインキー齧りながらレジに並んだら待たされた”というどうでもいい内容だけど不思議と残る、この曲。

奇妙な違和感を感じる。

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2016年11月29日 (火)

汚らわしい激情

言うほど寒くなかったな、今日は。昨日より全然マシ。

相変わらず先行きは不安定な状態だし、不安も抱えてはいるものの、ここのところ、とても落ち着いた気持ちで過ごしてる。いいカンジだ。少しでも長く続きますように。

最近、一番スカッとしたのはこのニュースを知った時。

しばらく前に宣言してたのは知ってたけどホントに焼いたんだねぇ。

批判的なコメントが数多くあるのも知ってるよ。

‟売却して、その金を何処かに寄付でもしろ”

‟相続した財産でお前が生み出したモノじゃないだろう”

‟ブルジョワのボンボンの自己満パフォーマンス”

‟自身の事業を宣伝する為の売名行為”

実際、そうなのかもしれない、いや、そうなんだろう。そのどれもが。

それに抗議された方は屁でもないかもしれない。

それでも俺は痛快と思った。

その馬鹿馬鹿しさとわざとらしさ、いかがわしさも含めて。

 

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今夜はコレ。

SEX PISTOLS、99年公開のドキュメンタリー映画、『THE FILTH AND THE FURY (邦題は「ノー・フューチャー」)のサントラ盤、『THE FILTH AND THE FURY 』

9月の嵐の日に渋谷のレコファンで入手、200円で(笑)

映画自体はソフト化された頃だかに一度観てあまりいい印象を持てなくて殆ど記憶になかった。

でも、この記事を書こうと思って昨夜観返したら、思ってたのより全然よかった。

制作当時のメンバーが歴史を振り返ったインタビューがふんだんに使われてる所為もあってか、シリアスな面が前面に出てて重い印象はあるけど、まあ、それも事実だろうし、このバンドの成り立ちから崩壊までが生々しく感じられて悪くない。

メンバーの発言でとりわけ良いのはスティーヴ・ジョーンズ。

バンド初期には「女とヤることしか考えてなかった」とか、ジョンの歌詞については「俺には政治的なことはわかんねえ。首相の名前さえ知らなかったからな」とか。

馬鹿でスケベと思われてる(事実だろうけど・笑)スティーヴだけど、感覚的には真実をつかんでたんだなと思えることも言ってた。「ジョンとマルコムはそっくりだった。だから、いつもピリピリして衝突ばかりしてた」とか。

もう少し時間を置いてまた観てみたい。

サントラの方は全29曲中、11曲が劇中にエピソードが語られる他のバンドの曲。

ジョンがマルコムの店のオーディションで唄ったアリス・クーパーの「エイティーン」、スティーヴが器材を盗んだというボウイの「ジーン・ジーニー」、結成時にマルコムがライヴァル視してたらしいベイシティ・ローラーズの「シャンガ・ラング」など。

Creation - Through My Eyes

結成当初のリハでカバーされた曲のひとつで超意外だったのがコレ。ごく初期のライヴで演奏されたってデーターもあるね。誰がこんなサイケ・ガレージ持ってきたんだろう?ジョン?マルコム?それともグレン?

どんなカンジでやってたのかな?と思ったらチューブにあった。

Sex Pistols - Through My Eyes

まだまだ手探りなカンジだけどジョンの唄いっぷりは出来上がり始まってるのがスゴイ。

今回、このサントラと映画を観聴きして改めて思った。マルコムとの裁判に勝って権利を奪還してからの、本人たちが携わったリリースものは中身はともかく、パッケージ・デザインやらがとにかくダメ。

映画の中では勿論、悪者扱いされてたマルコムとヴィヴィアン、それにジェイミー・リードの存在はデカかったんだなぁと痛感。そりゃバンド自体がスゴイよ。でも、俺はマルコムたちのセンスも大好き。あの人を小馬鹿にしたような、神経を逆撫でするような、わざとらしくていかがわしいところが無いと物足りない。

それもピストルズの魅力だったもん、絶対。

近いウチに『スウィンドル』観よう。

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